まっすぐな視線

鬱彼氏とのお付き合い日記

1016 おれも記念日

目覚めは眠りが浅い。

今朝も彼の夢で起きて、予感していた鬱フラグに近付いていくのを悟る。

徹夜をして無理をする彼と同じ授業を隣の机で受けるお話。

私は前のめりに前の席の女の子と必要な会話をする彼を眺めていた。

彼の背中のTシャツの裾が上がって、地肌が見えると湿疹で真っ赤だった。

 

「無理しないでね…」って言うと彼は「そっちも寝ない時あるじゃん」て困ったような苦笑いをしながら言った。

優しい口調で、だけど私の名前を呼ばなかったのが少し気になった。

「私はいいの!1日寝なくても次の日寝れるから!」

そう返した夢の中も彼は毎日無理を続ける設定だった。

 

彼が作るごはんのエピソードもあったけど、この夢メモを書いてる間に記憶が消えちゃった。

夢診断をするまでもなく、割とそのまんまだなあという印象。

 

必要なコミュニケーションなんだけど彼の言動意欲は自分以外のところに向いていて、夢の中でそれが女の子だったのはその対象に私はきっと少し嫉妬しているんだろう。

でもそれが心変わりではなく仕事や生活に必要な事務的交流だと理解もしている。

私が見てるのはチラっと見えるボロボロの背中。

 

優しい口調の困ったような苦笑いの表情は、この夢を回想しながら「確かにそういう顔する時あるなぁ」って思い浮かべたりした。

どうしようもなくて困っているんだけど、私に心配かけまいとして微笑んで誤魔化す。

私の頭をぽんぽん撫でながら、無言で理解を乞うような。

 

ランチを食べながら映画を見て、休日をのんびり過ごしていた。

ふとスマホを見たらLINEに赤い1の印がついている。

広告系かなと事務処理的に未読を消そうと開いたら、まさかの彼からの連絡だった。

 

「おれも」

 

ふあ!?!?!??

えっ!??ほえっ!?!!??!?

あまりのサプライズに変な声が出た。

 

ちょうど12時間前に送った「今日も大好き🥰」に対するリアクションが来た。

えっっっ、待って、嬉しすぎるんだけど…!!!?

鬱を認識する以前のやりとりを考えたらあまりに簡素だけれど、ここ最近のマトモな会話が成り立たない限界ギリギリの応答とは違う、久しぶりの恋人らしい言葉が届いた。

 

祭りだ。

 

私のことが好きだって!

大好きだって!!

ねえ、聞いた!?

えへへへへ!おれもだって!!!

天にも昇るような気持ちで何度も反芻する。

 

大好きと言った私に「おれも」と応えてくれたから10/16はおれも記念日🥗

 

あまりに浮かれてそんなフレーズが浮かぶ。

そう返すしかなかったかもしれない。

罪悪感からくるせめてもの誠意で応じただけかもしれない。

でも届けた言葉に愛情で返ってきた!

喜びを伝えた返事は当然の如く既読はつかないけれど、会話を続けるよう促すことなくただ喜びを伝えるだけに留めたからきっと通知で読んで彼も満足してる筈。

 

たった2日で連絡したことを申し訳なく思っていたけれど、受け止めて貰えた。

同じ熱量ではないかもしれない。

でもちゃんと好意のキャッチボールが出来た。

嬉しい。嬉しい。嬉しい。

 

調子に乗って更なる幸せな展開を妄想するけど、欲張るのはご法度。

今日はたまたまほんの少し調子が良かっただけかもしれない。

いい時と悪い時の波は絶対にある。

今後同じような種を蒔いても期待通りにはいかないかもしれない。

でも、俺も大好きって!私のことを大好きって!やったね!!

 

恋人同士の当たり前が今はものすごく特別で眩しくて嬉しい。

たった3文字のひらがなによって世界の色が変わる。

お昼寝して起きてからもずっと噛み締めて、部屋の中でスキップした。

 

こういう一言があるだけで元気と自信に満ちることが出来るんだよ。

色んなこと飲み込んで耐えて、彼を理解しようと努めた私の姿勢がちゃんと実を結んだような気がして安心もした。

もっと優しくいたい。愛情を注ぎたい。好きでいて貰いたい。