まっすぐな視線

鬱彼氏とのお付き合い日記

1031 ギブアップ

仕事のストレスが追加されたことによって、ついにキャパオーバーを迎えた。

 

争うのが面倒なのでどんなに理不尽であろうと最近はハイハイ返事をして上司の言いなりになるようにしていた。

でもプラベ含めて「最近ずっと我慢している」という感覚がここへ来て高まってしまい、バトルになるのを承知で意見を貫いてみた。

ちょっとした八つ当たりだったのかもしれない。

でも結果的に「他の人を優先してお前が気を使え」と強引に指図され、私の価値を低くつけられた形になった。

お前の配慮が足りない、お前がもっと頑張ればうまくいくだけのことと。

挙句には「お前のミスで派生した確認作業なのだ」とぐうの音も出ない指摘を受ける。

単純に言えば「もっといいやり方あるからこう変えませんか」「ミスした分際で口を出すな」の白旗展開。

 

言い争った上司は私のメンタルが弱いのを意識して、言葉を選んでくれているような気は少しした。

強引だしもうちょっとこっちの意見聞いて欲しかったけど理論上間違ったことは言ってないのかもしれない。

でも私はこのやりとりで自責トリガーを引かれてプツっと壊れてしまった。

 

私の努力が足りないからうまくいかないんだ。

私はダメなんだ。

私だって頑張ってるのに、私の目線では見て貰えない。

 

彼氏に関するストレスをそこに当てはめて堤防が決壊。

上3文の内容を繰り返し吐き出して、体中に鎮めていたストレスをかき集めて表に排出するように言葉をこぼす。

呻くような声をあげたり、大声を張り上げて泣き喚いたりして感情が爆発した。

泣きやめなくて頭が真っ白になって、鼻水をかんだティッシュが山になっていく。

 

破滅衝動が沸き起こり、自傷の代わりの赤ペンを握る。

ここ数年どうしても自傷したい時は赤ボールペンで左腕か紙に無数の線を引くことでリスカ替わりにしていたけど、筆圧の強さで蚯蚓腫れになるので今日は赤いサインペンにしてみた。

太く柔らかいペン先は何の刺激もなく、鮮やかなインクがべたっと大量に腕に乗る。

視界は満足させてくれるけどもっと力をこめないと気が収まらない。

 

通販で届いた小さな段ボールに目が向く。

潰していないボックス状のままのそれを机の上に置き、グーで握り締めたハサミを勢いよく振り下ろして穴を開けた。

振動もするし結構すごい音がする。

怒りなのか悔しさなのか悲しさなのか分からないけど、うまく吐き出せない感情を右手に込めてバスッ!バスッ!と刃物で破壊していく。

その間もずっとわあわあ泣いている。

誰かに見られたら狂気だろう。

でもそれが私の心に忠実で自然な行動なんだ。

 

思考がどう動いていたのか分からないけど、勢いでTwitterのアカウントを消した。

一旦開いて悩んで閉じて、一度は思いとどまった。

今後戻ってくる時のことを考えたら構って貰うことを煽るようで格好悪いと思ったし、会う約束をしている人たちがいるのに連絡手段を絶つのは迷惑になる。

せめてアプリを消すとか浮上頻度を落とすとかの妥協策も考えたけど、しばらく泣いた後でやっぱり嫌になって消した。

操作の指はとても素早かった。

 

気持ちが全然落ち着かなくて泣き止めなかった。

在宅と言えど仕事中で、忙しいピークの時間帯。

自分が今何をしているのかもわからなくなる瞬間が何度もあったりフリーズしてしまう無駄な時間もあったけど、なけなしの理性でなんとか業務を続けた。

ずっと声をあげて泣いて鼻水をかみながら。

 

彼に泣きつきたかった。

文章を頭の中で組み立てて実際に送ることを想像した。

「仕事でつらいことあって泣きやめなくて頭真っ白で、何も言わずにぎゅってして欲しい」

でもその背景には彼とのコミュニケーションがうまくいっていないストレスがあるからこその爆発なわけで、それをぶつけるのはダメだと思った。

そして何より私の存在が重くなってはいけない。

彼は今自分のことでいっぱいなんだから私に気を使わせてはいけない。

せめて1週間、連絡を絶つって決意したじゃないか。

私は彼の太陽になりたいのに、理想からかけ離れていくようなことを自らしたくない。

 

こんなに辛くても甘えることが出来ない。

そう思うと余計に悲しくて寂しくて、ギャン泣きに拍車がかかる。

最早何が悲しくて泣いているのか分からないレベルまでの泣き方に突入する。

自分でもこんなに泣くのは予想外でちょっと驚いたけど、それだけストレスを溜め込んでいたってことなんだろう。

 

Twitterを消したことにものの数分で気付いた友人から、discord(通話機能の付いた連絡ツール)で連絡がきた。

「どした?」と聞かれ簡潔に1文で説明をすると、それに対してのアドバイスも共感もなく、ただ「おつかれおつかれ。ネット離れると心楽になるよね。いつでも帰り待ってるからね。ゆっくり休んでね」とだけ返ってきた。

私の領域に踏み込まずに愛だけくれるスタンスだった。

こういう理想の対応を私は彼にしてあげられない。

もっと私に話してほしい、私のこと見てほしい、私の気持ち知ってほしい…どうしてもその押し付けをやめられなくて相手のペースで放置してあげることが出来ていない。

こんな優しい友達の対応ですら私は自分を責める材料にしてしまう。

 

しばらくしてURLがポンと送られてきて、恐る恐る開いたらハーゲンダッツのギフト券だった。

「おいしいものたべてゆっくり休んでね」と添えられた贈り物。

たった1度しか会ったことのない遠方の友人で、普段からそんな頻繁にお互いのことを話すわけではないゲーム繋がりのゆるく和やかな交流で続いてきた1人。

こんな私のためにありがとうと感謝の気持ちを浮かべつつ、詳細を話さずともどれだけ辛いかが伝わってとても心配してくれているのが分かった。

 

その後もパラパラと心配の連絡がきて、気にかけて貰えるのはありがたいと思う反面で「ありがとう私は大丈夫だよ」って言うのがしんどいのだと気付いた。

元気なフリをしたくなくて楽しい世界の扉を閉ざしたのだと自分の行動の意味を悟る。

心配を煽りたいわけじゃないけど、それに気付いたら返事をする気が急に萎んでしまった。

 

Twitterで繋がってない状況を知らない友人から雑談LINEが来て、いつもたくさん相談に乗って貰ってるし無視するのも無礼だと思って普通に雑談に乗った。

でも途中で説明して結局話を聞いて貰って、また感情が爆発して泣きながらぶちまけてしまった。

一生懸命慰めて理解を示してくれたけど、やっぱり私の負の勢いが強すぎて最後はちょっと相手も投げやりな形で終わりになった。

こうやって受け止めきれない程のマグマを抱えている自覚もあるからこそ、自分の存在を迷惑がられるのが怖くて徐々に皆と距離を置きたくなっているところもある。

ありがたいことに包容力で接してくれる人がたくさんいるけれど、絶対疎んでいる人もいる筈だし、最初はよくても想像以上だとひいてしまう人はきっと多い。

私は汚物。蓋をして隠さなければ。

 

彼の気持ちもきっと今の私と近いのだろうと思うと、私より症状が重くてもっと思い通りにならなくてしんどい筈で、それで罪悪感だけずっしりしてたらそりゃ苦しいよなぁって思いつつ、それを私は理解したフリして「せめてこれくらい出来ない?」って詰め寄ってるの最悪だなって思ったりなど。

 

気晴らしに映画を見て心を落ち着かせて、また思考がぐわーっとネガティブに火がついて号泣して、そんな繰り返しで深夜になった。

泣き過ぎて頭が痛い。視力もぼやけてあまりよく見えない。

時間を置いてもまだまだこんなに苦しい涙がいっぱい出てくるっていうのは、まぁまぁ限界が来てるんだなと悟る。

悩みに派生する悲しい涙じゃなくて、病んだ故の疲労の涙と解釈して、諦めて薬を飲んだ。

久しぶりだね、レキソタン

まだ頑張れるって思ってたけど負けを認めるよ。もう無理だよ。

 

ただいま、闇の世界。