まっすぐな視線

鬱彼氏とのお付き合い日記

0328 パンドラの桜

開花と雨上がりを待って今日はお花見散歩へ。

 

ここ最近の睡眠サイクルは20時間寝て20時間起きたままで…みたいな大刻みになってしまうことが多く夜型も朝型もなかったのだけど、運よく朝4時過ぎに起きたのでこれは日中お出かけ出来るぞと。

寝るのが怖かった時と同じような感覚で睡眠が不自然に思えて休息を拒否してしまって、でも身体は疲れてるから蕁麻疹が頻繁に出るようになり薬も効かなくてバグを感じる。

 

私の中で桜と言えばこの曲っていう長年愛したアーティストの桜を題材にした曲があって、それが収録されたアルバムをメインに久々にそのアーティストの曲を聴いた。

今も大好きなのに、私にとってはパンドラの箱でもあって日常的にはあまり聴けない音楽でもある。

表現力も歌声も心地良くて改めて惚れ直したけど、やっぱり癒えない悲しみも溢れ出してしまった上、色々考えてしまった。

 

25年前、今となっては「幸せの原型」と言えるバンドの形があった。

私はそれに人生を変えられたと言っても過言ではない程心酔した。

その1年後、ボーカルの脱退によってそれは突然崩壊して絶望に泣き続けた。

残されたメンバーの1人は崩壊をショックに思うあまり自死をして、ファンも関係者も含め色んな人たちの憎しみと悲しみの交錯は凄まじいことになった。

 

そこから10年間、そのボーカルは自分のせいで傷つけた私のようなファンを笑顔に変えようというテーマで、亡きメンバーに対しての想いを含め罪悪感まみれの曲をソロ活動として歌ってきた。

私はそんな彼に心を打たれてその罪が少しでも軽くなるよう寄り添い、憎しみ続ける者に何度となく心をなぎ倒されながらも「幸せの原型」に夢を見てきたんだ。

 

いつかきっと「還る」んだって。

 

「帰る」と「還る」は、過去に戻るのか未来へ進んでかつてのものを取り戻すのかというニュアンスの差があって、絶対に立ち止まらない彼の姿勢を真似て私も歯を食いしばる気持ちで前進してきたつもりだった。

平たく言えば脱退した彼がバンドメンバーと和解してバンドを再始動させるっていう目標を夢見てたんだけど、そう簡単な話でもなくて。

 

10年も経つと色んなことがうやむやになる。

事実の詳細よりも抽象的なイメージだけが鮮明に刻み込まれて、強く願ったことさえも否定される度に諦めに変わっていく。

それがね、鬱彼の寛解を待つことに重なって色々考えてしまって。

 

そのアーティストは10年を区切りに諦めてしまった。

音楽活動が休止され、6年ぶりに新譜を出した時のテーマは「戦死」。

戦友たちの屍がゴロゴロ転がる戦場に立ち尽くして、桃園の誓い(※)を添えながら「美しく散れ」と歌って長い歴史に幕を閉じた。

(※=生まれた日は違うけど同じ日に死のうという運命共同体である絆を意識した誓い)

 

目の前の悲劇に困惑し、立ち尽くし、前に進まなければと奮い立ったソロ始動時期の曲。

ファンを先導してこの試練絶対乗り越えるぞ!皆で絶対還るぞって強い気持ちを歌っていた2~5年目くらいの曲。

報われる気配がなくて疲れたな…でもまだ諦めるなって弱音を奮い立たせていた後期の曲。

もう無理なんだと悟り、目の前のファンを笑顔に出来ればいいと目的を変えた終盤の曲。

 

どの曲にも彼の渾身の愛がにじみ出ている「恋愛ではないラブソング」

ソロ活動を見守った18年分の想いがぶわっと蘇った。

その結末を「桜散る」と表現された曲があるのだ。

 

前々からこのファン活動としての経験は鬱彼を待つ上で「鍛えられた根性があるなぁ」と強みには思っていたんだけど、なんか今日は「なんで私の人生ずっとこんなんばっかなんだろう」って気持ちになってしまった。

諦める人は早々に諦めるしこんなに忍耐力を試されることなく離脱していく。

でも私は例え報われなくても希望が捨てられない。

うまく文章で表現できないけど、長年の想いと今の苦悩のシンクロの闇に1日かけて深く呑まれていった。

 

今日見た桜の写真を彼氏に送った。

その1時間後、こうして報告したくなる日常に対してリアクションを毎回求めるのは心苦しいし、お互い既読機能がない方が楽じゃないかと彼専用のツイ垢を作ってこっちで繋がらないかと提案してみた。

でも安定の未読無視で、Twitterのアクティビティが1回も増えず全く興味を示されなかった。

 

うまくいかない、うまくたちまわってあげられない、そんな現実にストレスが増している。

悲しいとか寂しいとかよりも少し怒りが湧いてきているからこうして強引な行動に出てしまう。

彼が頑なに未読無視を貫くのもそういうことなんじゃないかと思えてきた。

勿論お互いの事情や感情は大前提としてありながら「だーかーらー!無理って言ってるじゃん!なんで分かってくれないの!?」をお互いに無言で押し付け合っている気がする。

 

先日のハルさんのカウンセリングでも鬱はイライラが強く出やすいという話を思い出したばかりだった。

そういえば鬱は友達をなくしやすいというのも定説。

余裕がなく自分のことしか考えられないから傲慢な言動が増え、何でも許してくれないと成り立たなくて、全力で寄り添う姿勢などない一般感覚の人はそれを不快に思って離れていくという仕組み。

今の彼の姿はそれなのかもしれない。

 

でも人間は沈黙をポジティブに解釈して偶像を作る。

黙っている彼のことは今までずっと「私に罪悪感ばかりで苦しんで可哀想」だったけど、実際は「私のことを鬱陶しいと思って苛立ちから無視している」のだとしたら?

言わなければ何も分からない。

伝えてこないのだから彼は怒りを私にぶつけていないということだけは事実だけど、異常なまでに逃げ回って壁を作っていることをどう解釈したらいいんだろうか。

全ては「病気だから」で片付くけれど、それを受け入れるのは簡単じゃない。

病気の詳細が知りたいよ。納得出来ないんだよ。

 

最初はただ純粋な気持ちで彼を支えて待とうと思っていた筈なのに、報われる気配がないと濁ってしまう。

もう戦死はしたくないのよ。